2016.10.31ライフワーカー

FOXネットワークス株式会社代表取締役社長デイビット・シンさんのスマートな1日。

言わずと知れた映画会社「20世紀FOX」などをグループ会社に持つ、世界的メディア企業FOXネットワークス・グループ。現在大ヒット中の『ウォーキング・デッド』シリーズなど、映像コンテンツで世界のエンターテイメントを牽引しています。今回は、世界の映像インダストリーを渡り歩いてきた、FOXネットワークス株式会社代表取締役社長デイビット・シンさんをクローズアップ。様々なシーンで「ながら」ワークスタイルをスマートにこなす、ある1日をレポートします。

-- FOXの代表として、シン社長は具体的にどんなお仕事に、どんな風に取り組んでいらっしゃるのか、教えて頂けますか?
パートナー企業も含めて組織の代表として、対内外で色々な方たちと接しています。エンタメ業界は変化が目まぐるしい。そのため、ビジネスの方向性と戦略を、刻々と変わる時流の中で示していくことが重要です。会社の文化を維持し、さらに発展させるには、どんなイニシアチブを取るべきか。そこに大きな責任を感じています。


--典型的な1日の動きを、教えて頂けますか?
朝起きたら、軽い朝食。車での通勤が普通ですね。運転中はインターネットラジオかPodcast。フリックエコノミクスをよく聴いています。出社後は、まず各部署のトップたちとの社内会議が次々とスケジューリングされています。後は香港とのやりとりが多い。たくさんのVCと電話会議、山ほどのメール。夜にはビリヤードをしながらリラックスして電話会議というのが多い。夜は会食があります。19時半から、だいたい22時くらいに終えます。そのまま帰るか、お店を変えるか。昨日は遅くなっちゃった (笑)。中国からビジネスパートナーの候補が来ていたので。


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-- UCLAを卒業して以来、ずっとテレビ業界にお勤めされていますが、業界の面白さ、魅力はどこにあるのでしょうか?
他の業界にいたことがないので、あくまで私見ではありますが、他の業界よりは刺激が多いのではないかと思っています。新しい話題の番組が次々とチャンネルを賑わせてくれます。みんながわくわくする番組を、仕事として扱う醍醐味を感じています。そもそもは自分も一映画ファンだったから、映画の製作会社に入ったんです。そこがテレビ事業もやっていた会社だったので、様々なエンタメに触れることができました。


-- FOXで働く、仕事の醍醐味や喜びは、どんなところにあるのでしょうか?
心の底から好きなことを、仕事として存分にできるという、この会社の文化が好きです。「Work hard, play hard」それがこの会社での働き方であり、良い人生の歩み方だと思っています。


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--大崎のオフィスの、立地や空間の魅力についてお話し頂けますか?
働く環境はすごく大事。仕事も遊びも一生懸命やりたいですから。このオフィスはWi-Fi、bluetooth環境の充実でオープンな空間になっています。カラーやスタイルにもこだわり、ビリヤード台や卓球台など遊べる施設もあります。働く仲間がリラックスできるように工夫しています。


--グローバルに活躍してきた背景をお持ちのうえで、今日本で働いていて感じる働き方の違いには、どのようなものがおありでしょうか?
外国人の社長の友達が口を揃えて言うことがあります。日本の方がコンサバだと。日本が急成長していた時代は、ある程度リスクをとってビジネスを展開してきたと思うのですが、今は保守的ですね。もっとリスクをとって、大胆に進んでもいいのではないかと思っています。例えば、アップルがiPhoneを出した時も、リスクがあるから止めろと言われていた訳ですよね。でも今は、世界最大のシェアを持っている。やはりスティーブジョブスはすごいですよ。多くの成功の陰に沢山の失敗をしていて、会社から追い出されたことも。でも、くじけることなくチャレンジし続けた点はすごいと思っている。一度こけてもまた起き上がるというところを尊敬しています。


--仕事と遊び、どんなバランスで向き合っていらっしゃるのでしょうか?
私の場合は遊びすぎかも(笑)。日本の自然が大好きで、海も山も揃っていることが素晴らしいと思っています。ウォータースポーツではサーフィンやダイビング。冬にはスノボを、普段は山登りも、暑すぎなければゴルフもします。


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--「ながら」のワーキングスタイルが得意と伺いましたが、時間のマネジメント法についての持論やヒントがありましたら、教えて頂けますでしょうか?
私は長・中・短と3つのスパンで仕事を考えます。5〜10年後の長期ヴィジョンで考える。それから今年のゴールとして、どう利益を伸ばすかを考える。どう5ポンド痩せるかとかも(笑)。それと月ごと、週ごとのゴールを考え、日々のルーティンが決まってきます。例えば週に3回ジムに行こうと決めたらやり続けるし、仕事では売り上げをもっと成長させようとなると、どんな会議や施策が必要かを考えて実施する。年間ゴールを、きちんとブレイクダウンして考えることが大事です。私の場合、やりながら、失敗しながら学んできました。ビジネスにおいては財務、法務や顧客関係など、たくさん学ぶ必要があります。各要素が単体でなく、すべて繋がっているので、体系的に学ぶ必要あります。ラッキーなことに、私はそういうことを連動させて考えるのが好きなんです。


--御社には「NATIONAL GEOGRAPHIC CHANNEL」というドキュメンタリーチャンネルがありますが、エンタメ系のチャンネルが多い中で、どのような位置付けになるのでしょうか?
多くのチャンネルを運営しているので様々な異なるコンテンツがありますが、実は共通項があります。それが、考えさせるものか、心を動かすもの、つまり感情に訴えかけるものかどうかです。最高のコンテンツは、思考と感情の両方を動かすものだと思います。例えば、ナショジオは視聴者を地球環境や科学、宇宙について考えさせるコンテンツが多いチャンネルですね。考えさせるし、感じさせる。環境に対する見方を変え、思い入れを持たせ、人生を変えるという意味で。


--自分の中での仕事に対するこだわり、「ここだけは譲れない!」といったものはありますか?
楽しむことが何より大事だけど、プロとしてのしっかりした仕事をすること。部下にも妥協しない。誰もがプロとして仕事をして貰いたい。個人的感情のような理由で、ビジネスの決断や行動には出ない。他の人の話を聞き入れないような頑迷さを持たないように気を付けています。間違っていたらすぐ認めて、正しい意見を聞き入れようとします。


--社長としての、今後の目標や夢を教えて頂けますか?
いつか自分でコンテンツを作ってみたいですね。アニメでもドラマでも、なんでもいい。特に日本でやってみたいです。俳優もクリエイターも、日本には才能ある人がたくさんいる。しかし、現状はクリエイティブコミュニティが自分たちの才能を発揮出来るチャネルが少ないと思います。なので、これから将来的に、日本発のコンテンツを世界に発信していきたいです。


--読者に向けてのおすすめ番組を教えてください。さらに、自身が影響を受けた映画を教えてください。
『ウォーキング・デッド』はゾンビの話だけど、実は人間が抱える困難を描いていて、ヒューマンドラマとしての価値がある。強いだけでない、その奥に人間らしいもがきや克服、素晴らしいものが描かれているので、ぜひ観て頂きたいですね。
影響を受けた映画については、私は大学時代に映画を勉強していました。私にインスピレーションをくれたのは、実は日本なんです。例えば、黒澤明の『羅生門』。白黒でも、ショッキングなくらい美しかった。オープニングの、雨がざあざあ降りのシーンで、日本映画への興味が目覚めました。私はそういうセンセーショナルな映画が好きなんです。


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