2022.03.28

働く女性のリアルを!今を!パッションを!
Work-Life Bridge「サロン」をレポート

『三井のオフィス』では、誰もが自分のカラーを活かして働けるよう、「COLORFUL WORK PROJECT」をスローガンに掲げ、多様な働き方の実現を推進しています。その一環で、毎年3月の「国際女性デー」のタイミングに合わせてセミナーを開催しており、今年は、トークディスカッションの「サロン」と、「オンデマンドセミナー」を実施しました。

今回、ご紹介する「サロン」では、3人のパネラーがご登壇。それぞれ『三井のオフィス』のテナント企業でご活躍中であり、キャリアの中でダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)を実現されてきた方々です。
<パネラー>
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス合同会社
人事総務本部長 島田 由香氏

野村ホールディングス株式会社 サステナビリティ推進室
ダイバーシティ&インクルージョン推進課長 大谷 英子氏

ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社
Director, Head of Public Relations 臼井 文氏

パネラーの皆さまのプロフィール詳細は、本ページ最後にご案内しております。イベント概要WEBサイトから、ご確認いただけます。

質問形式のディスカッションで、リアルさとパッションあふれる90分に

「国際女性デー」である3月8日(火)、日本橋髙島屋三井ビルディング日本橋ホールにて、新型コロナ感染予防の観点から会場に入る人数を制限して開催。来場された20名程のご参加者に加えて、オンライン生配信にて多くの方々が参加されました。

トークディスカッションは、& Life-Biz会員の皆さんからいただいたご質問にパネラーが答える形式でおこなわれました。3人ともこの日が初顔合わせでしたが、同じ時代を生き抜いてきた同志という感覚ですぐに打ち解けられ、お互いのご意見に共感する場面も多く、和やかな雰囲気の中で進行。ご自身のリアルな本音と経験をベースに、ご質問者に心を寄せながら、情熱をもって話される姿が印象的でした。

さまざまな経験を積み重ねて気づいたこと、大切にしてきたこととは?

まずは、パネラーの方々に、これまで歩んできたキャリアの中で気づいたことや考えてきたことなどを交えながら、自己紹介していただきました。

現在、ユニリーバで人事総務本部長を務められている島田さんが、キャリアに影響を与えたこととして挙げたのは、お子様の存在。出産後、ハードな日々を送られたそうですが、そんな中でいえることは、「主人公は自分」ということ。「ママが輝いていることが、結果として、子供にもいい」と気づいたことが、大きな変化を生んだとおっしゃいます。

大谷さんは、野村證券に一般職で入社し、営業の仕事をされているときに、結婚、出産を経験。当時はそのタイミングで退職される方が多かったものの、仕事を続けられたのは、先進的な考えをもつお客様が「これからは女性が活躍する時代よ」と背中を押してくれたから。「自分は、仕事と子育ての両方を楽しみたい」ということがわかり、「子供をもって仕事をすることが自分のパーソナリティ」と話されます。

これまで3つの会社に所属し、MBA留学、出産、育児も経験されてきた臼井さん。環境が変わる中で感じたことは、「あまり計画を立てすぎないほうがいい」ということ、そして「なんとかなる」と思うこと。ただし、できるだけの準備はして「オプションを多く用意しておくことも大切」で、それで初めて、やりたいことができる環境が整う、と語ってくださいました。

たとえ自信を失っても、自分らしくやってみることが突破口に

最初は、仕事において「自信をなくした経験」について尋ねるご質問。加えて、「前向きに考え続ける思考法や逆境の乗り越え方についてもお聞かせください」というものです。

臼井さんは、1つめの会社に入社して5年経った頃、担当商品が突然キャンセルになって社内失業状態に陥った経験を挙げられました。そして、「自信がなくなったときには、周りの方に少し弱みを見せて、励ましてもらうといい」と話すとともに、「自信がなくなったことを取り戻せるよう、勉強しなおすなどの謙虚なプロセスも必要」と、原点に戻ることにも言及されました。

また、島田さんからは、「自信を失うというのは、誰かと比較をしているということ。それをやめるといいと思う」とのお言葉。ご自身が経験したのは一度だけ、取締役になることが決まったときなのだそう。その日、帰宅して大泣きしていた島田さんに声をかけたのは、まだ小さかった息子さん。「ママは、ママらしく取締役っていうのをやればいいんじゃないの」。その一言で、気がラクになった、と当時を振り返ってくれました。

そんな島田さんのお話に共感されていたのが、大谷さん。異動により新しい仕事をすることになって不安を抱えていた際、「私に何かできると思ったから仕事がきたのだろう」と割り切ったとのこと。これが、前向きになれる思考法の一つだといいます。さらには、「もがいて、自分なりにやってみることで、できるかもと思えてくる」。そうしたら「不安がワクワクに変わる」。それが、大谷さん流の逆境の乗り越え方なのだそうです。

考えていることを口に出す。それが、D&I推進の力になる

「各企業でD&Iの推進に取り組んでいるものの、現実と乖離しているように感じたり、女性の活躍を望まれていない、また理解されていないと感じるときがあります。D&I実現のために、個人としてどのように取り組めばいいですか?」というのが2つめのご質問。

現在、ダイバーシティ&インクルージョン推進課長としてご活躍中の大谷さんは、「まだまだ取り組む必要があるので、会社でも推進しています」と、ご質問された方の想いに理解を示されました。そして、「自分がどう見られているか」ということより、「自分がどうしたいのか」を考えて、それを「口に出すことが第一歩」と話してくださいました。

「一番大切なことは、自分がハッピーかどうか」とおっしゃったのは島田さん。大谷さんと同じく、それには「まず自分を知ること」が重要とも。それで初めて、他の人との違いや共通点も見えてくる、とおっしゃいます。

また、臼井さんは、「女性にもいろいろな考え方を持った人がいて、それこそD&Iだと思う。だから、その中で自分は何を求めているのかを伝えないと、会社側はわからないし、自分の欲しい環境も整わないと思う」と、大谷さんと島田さんのご意見に同意されていました。

キャリアは人それぞれ。スピードを緩めるときがあってもいい

3つめのご質問は、「ライフイベントによりキャリアが途切れることや、今後のキャリアプランの立てにくさに、不安を覚えている女性社員は多いのではないしょうか」ということから、「会社に求められるサポート」を問うものでした。

そこで島田さんが提起されたのは、「前提として、ライフイベントによってキャリアは途切れるもの、という考えがあるのでは?」ということ。キャリアが途切れているように見えても、実はワープしているのかもしれないし、歩みを続けている場合もあるから、まずは前提を変えてみよう、ということです。

そのご意見に共感して「ライフイベントもダイバースだと思う」とおっしゃったのは、臼井さん。キャリアのスピードやステップの上がり方は環境に応じて変えていけると捉えて、その中でプランをどう立てるかというマインドセットで臨むといいのでは、と心の持ち方をご提案くださいました。

「子どもがいることが自分のパーソナリティ」という大谷さんは、「子どもがいて、いろいろな仕事をしてきて、今はD&Iの仕事をしている。散らばっているようでいて、振り返ってみたらつながっているなと思う」とのこと。若いときは一斉にスタートして短距離走のキャリアを思い描いているかもしれませんが、「自分の速度で走ればいい」と、キャリア30年の重みある言葉を発信していただきました。

さらに、「会社に求められるサポート」について、大谷さんは「ある程度、制度は整ってきた」としつつ、「もし使えない環境であれば、どうしたいのかを声に出すこと」が、より良いサポート体制の構築につながると示唆。島田さんは人事の観点から、「相手に興味をもって一人ひとりと向き合い、魅力や強みを感じとって広げてあげることが大切」と話してくださいました。

仕事や人生についてパネラーと参加者がともに考える、充実した時間

ディスカッションの中では、仕事や人生を考えるうえでヒントになりそうな言葉も話題に上がりました。その一つが、「ワーク・イン・ライフ」。昨今、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉がよく使われますが、島田さんは、「ワーク」と「ライフ」を分けて考えるのではなく、「ワーク・イン・ライフ」というように、人生を基軸にした中で、自分の存在意義や働く意義を考えることが重要、と話されました。また、「well-being」は、心身ともに健康な状態、つまり「良い感じ」の状態を指す言葉で、これが全ての人にとって大切であり、今後、社会的にも一層注目されるはず、とのお話があり、皆さんの共感を呼んでいました。

こうして90分という時間をともに過ごして、ご参加者だけでなく、パネラーの皆さんにとっても、有意義な時間だったと感じていただけたようです。

島田さんは、今回さまざまなご質問をいただいたことについて、「『問い』は自分の中にないものを考えさせてくれる素晴らしいツール。自分の中だけで解釈をして悩むことも多いので、周囲の人に問いてみると、お互いに良い結果を生むことにつながる」と話され、「私にもたくさんの問いをください」と笑顔を見せてくださいました。

ご自身も、人生とキャリアの棚卸しができたと話す大谷さんは、「こうあるべきと捕らわれて、できていない自分を苦しめる時代もあった」としながら、そうではなくて、「自分はこうしたい、とポジティブに思ってもらえたら嬉しい」とのこと。

そして、コロナ禍によりワークスタイルが変わるなど、今まで以上に変化の激しい時代にあって、「自分は何をしたいのかを前向きに考えて、チェンジやチャレンジをチャンスに変えていただきたい」と、臼井さんが力強い言葉で締めくくってくださいました。

仕事とは?生きるとは?そんな問いに対して、パネラーの方々の前向きでパワフルな答えを存分に伺うことができた本サロンの様子については、期間限定でアーカイブ動画を& Life-Biz会員様限定で公開しています。この機会にぜひぜひご視聴ください。

Work-Life Bridgeでは、ここでご紹介した「トークディスカッション」のほか、2人の講師による「オンデマンドセミナー」も実施。佐々木常夫氏には「ダイバーシティ&インクルージョンの重要性とその実現方法」を、山口絵理子氏には「バングラデシュとのフェアトレードを実現した起業家マインドについて」お話いただきました。

「& Life-Biz」では、スポーツイベント、キャリア形成・介護・育児にまつわるセミナーなどを開催し、『三井のオフィス』で働く皆さまに毎日の暮らしをより豊かにする方法を提供しています。
今後も様々なイベント・キャンペーンを企画してまいりますので、& Life-Biz Webサイトから是非ご参加ください!

※本サイトのサービス名称は、2023年3月31日より「&BIZ」へ名称変更いたしました。

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