
2017.09.13
七転び八起きの人生を、しなやかに生きること。働くこと。
株式会社キッズラインの代表として、さらにテレビコメンテーターとしても活躍されている経沢香保子さんによるトークショーが6月21日、汐留・シティーセンターにある「WORKSTYLING」で開催されました。
数々の経験を経て、日本に「ベビーシッター文化」という新しい社会インフラを浸透させようとしている経沢さん。
「失敗こそが、私の財産」と笑顔で語ってくださった彼女のトークショーの一部をご紹介します。
始発終電が当たり前のような毎日だったが、短期間でビジネスの基礎体力を身につけることができたといいます。
――2000年、26歳でトレンダーズ株式会社を創業。
2012年には東証マザーズに女性社長として最年少で上場しました。
留学してMBAを取得することも考えましたけど、自分には勉強より仕事が向いていると悟りました。
当時はITバブルだったのでフリーランスでも仕事はたくさんあったし、それなら起業しようと思ったんです。
起業したい人の多くが、輝きたいとか、かっこいいビジネスをしようとか、憧れの仕事を選ぼうとしがち。
でも私は人のやらないことをやろうと考えました。
日本ではまだまだ経営陣は男性がほとんどですが、消費の中心は女性です。
そこにネジレがあるのではないでしょうか。
だから経営権のある男性と消費権のある女性をつなぐビジネスにチャンスがあると思いました。
マイノリティになれば勝率は高くなりますから。
起業家はアイディア勝負。でもそれは壮大な構想を練るとか、突拍子もない発想をすることではなくて、もっと現実的なのではないでしようか。
自身の生活の中で「あったら便利なのにないよなぁ。ならつくってみようか」でいいと思います。
そしていいアイディアを生むためにはコンディションが大切です。
寝不足や二日酔いはもちろん、体力の低下にも注意しなければなりません。
私は満員電車が苦手で、体力を消耗してしまうから、会社から徒歩圏内に住んだり、下り電車で通勤できるような場所に住みました。

順風満帆の半生のようにも思えますが、実は山あり谷ありの連続だったそうです。
最初に会社を立ち上げ資金調達をして事業拡大しようと、社員も増やして広いオフィスに引っ越しました。
でも売り上げは伸びずに赤字が続き、上場などとても無理な状況に。
何が足りないのかと考えたら、私は組織を作るつもりだったのに、単に社員を増やしただけだったことに気付いたのです。
そこで組織作りを考え直し、マネージメントのできるスタッフを採用し、人事評価制度を作るなどゼロからやり直しました。
それでも茨の道は続きました。
その当時、初めて授かった子供は生まれながらに難病を抱えていたし、個人的に多額の負債を背負わされたこともあります。
人生どん底で、会社を辞めようと悩んでいたときに相談したのが、サイバーエージェントの藤田晋さんです。
彼とは同学年ですが、経営者としては雲の上の存在ですよね。
でもそのとき彼が投げかけてくれた言葉が今も支えになっています。
「僕も経沢さんも人間としての能力は変わらない。だから諦めないほうがいい。人生は諦めたことだけが後悔として残るのだから」
その言葉を聞いたとき、藤田さんだって人知れず苦労して来たはずなのに、私はその苦労すら避けようとしていたことに気付かされ、もう一度頑張ってみようと思いました。
苦しみの先には必ず光が見える、そう自分に言い聞かせられる力が必要だと教えていただいたのです。
井戸を掘り続けて、もう少し頑張れば泉が湧くのに、その手前でやめてしまう人が多い。
あと5%の努力を続けるか止めるのか。そこが重要なのではないでしょうか。
あと大切なのは相談する人を間違えないことですね。

――起業家として数々のピンチを乗り越えてきた経沢さん。
でも、逆境のときこそ学ぶことが多いといいます。
会社は赤字続きで、個人的にも借金抱えて、育児にも悩んで、会社辞めたくなったりなど、いろいろなピンチがありました。
でも一番辛かったのは、信頼している身内と意見が食い違ったり、「えっ!」と思うような態度を取られたときです。
でもそのときは、相手が悪いのではなく、私が悪かったと思うようにしました。
意見が食い違ったとき、相手ときちんと向き合って話しをしたのか。誠意のない接し方をしたことはなかったのか。
そう自分に問いかけると反省することばかりでした。
信頼し合っていると信じている仲間でも積極的にコミュニケーションをとることが大切だと学び、言葉の選び方にもより注意を払うようになりました。
起業した当初は、自分の夢ばかり追いかけていたような気がします。
社員から億万長者を10人は出そうとか、自分なりに目標を立てて頑張ったし、だからこそ社員にも忠誠心を求めていたんです。
でもそれは私の理想であり勝手に期待しているだけで、社員全員の合意を得られてはいなかったのです。
頑張るのは私だけの都合であり、大切なのは共に働くスタッフひとり一人の想いを探ることでした。
――経沢さんが2度目の起業で挑んだのはITを駆使したベビーシッターサービス。
だが、周囲の理解を得るまでには大変な苦労があったそうです。
日本ではベビーシッター文化がまだまだ浸透していません。
便利かもしれないけど「高い。面倒。」という先入観を持っている人たちを説得しなければなりませんでした。
伝える力の大切さを痛感しましたし、だからこそテレビのコメンテーターの仕事もより真剣に取り組もうと決めました。
2週間分録画できるビデオを買って、自分だけでなく他のコメンテーターさんの発言もチェックしました。
特にデーブ・スペクターさんのコメントからは多くのことを学んでいます。
30年間テレビに出続けている外国人タレントはデーブさんだけですよね。
その秘訣を私は「デーブの法則」と呼ばせていただいていますけど、彼は最後は必ずポジティブな発言で締めくくります。
そして人の悪口は言いません。最終的には言葉に愛があるか否かなんです。
ブログなど文章を書く習慣も身につけました。
自分がモヤモヤを抱えているときに文章を書くと、何が原因なのか整理することができるし、最後は前向きな言葉で締めくくるので気持ちを切り替えて1日を終わらせることができます。
ブログを1本書き終えると、人間的に凄く成長できたような気がするから不思議ですよ。

そのために特に心がけていることが2つあるそうです。
まず、思いついたら直ぐに行動すること。
会いたい人がいたら直ぐにメールやラインをしてみる。
私は面識の無い大企業の社長さんにお会いしたくて、フェイスブックでお願いしたら多くの人が貴重な情報を下さり実際にお会いできた経験があります。
思いついたことをすぐ行動に移すだけで自信がつくし、人生が変わることもあると知りました。
私、断食をしたいと思って直ぐに実行したんです。
朝と昼は野菜ジュースにして、夜は好きなものを食べる。これを続けていたら頭はクリアになるし、肌にも効果が表れました。これも思い立ったら即実行の効果ではないでしょうか。
ジョギングを始めたいと思ったら、まずランニングシューズをポチる。
英語が上手くなりたいと思ったら、英会話教室に通う。
興味があるなら即行動に移す。
三日坊主に終わってもいいじゃないですか。
何でも初めてみれば、自分に合うものは続けられるはずだし、それが財産になるんです。
自分の直観を信じて行動すれば、失敗してもデータベースが蓄積されていきます。
――2児の母親でもある経沢さん。親子関係についても語ってくださいました。
ヘリコプターペアレントという言葉もありますが、心配性の親が多いですよね。
私はできるだけ子供を操作しないで、子供自身に決めさせるようにしています。
でも子供が迷ったとき、正しい選択肢を教えてあげるための準備はしているつもりです。
子供の方が大人ですよ。周囲をみて、常識にとらわれずに人の本質を見抜いている。
ただ語彙が少ないので、親が会話のなかで意図を汲み取ってあげる必要がある。
――どんな人と接するときでも謙虚さを忘れない経沢さん。
人付き合いについて注意していることを伺いました。
何でも話せる同世代の親友は私の宝ですよね。
さらに年上の方、年下の方とも交流するよう心がけています。
私、後輩も尊敬しているし、素直に教えを乞うことができるんです。
それが長所かな。本日ここに集まって下さった皆さんも何かの縁で結ばれているのかもしれません。
せっかくですから隣の方を食事に誘ってみてはどうでしょうか。
経沢香保子
1973年千葉県生まれ。
慶応義塾大学経済学部卒業後、 株式会社リクルートに入社。楽天株式会社勤務を経て、2000年、26歳のときにトレンダーズ株式会社を創業。
2012年当時最年少女性社長として東証マザーズに上場。2014年「女性が輝く社会」をミッションに掲げ1時間1000円〜、即日でも手配可能なベビーシッターサービス「KIDSLINE」をスタート。
新しい育児スタイルの提案などの育児支援を行い、日本にベビーシッターの文化を広めることを次のミッションとしている。『自分の会社をつくるということ』(ダイヤモンド社)他、著書多数。テレビのコメンテーターとしても活躍している。
数々の経験を経て、日本に「ベビーシッター文化」という新しい社会インフラを浸透させようとしている経沢さん。
「失敗こそが、私の財産」と笑顔で語ってくださった彼女のトークショーの一部をご紹介します。
アイデアは日常生活のなかにある。
――経沢さんは新卒でリクルートに入社し、その後、創業間もない楽天に転職。始発終電が当たり前のような毎日だったが、短期間でビジネスの基礎体力を身につけることができたといいます。
――2000年、26歳でトレンダーズ株式会社を創業。
2012年には東証マザーズに女性社長として最年少で上場しました。
留学してMBAを取得することも考えましたけど、自分には勉強より仕事が向いていると悟りました。
当時はITバブルだったのでフリーランスでも仕事はたくさんあったし、それなら起業しようと思ったんです。
起業したい人の多くが、輝きたいとか、かっこいいビジネスをしようとか、憧れの仕事を選ぼうとしがち。
でも私は人のやらないことをやろうと考えました。
日本ではまだまだ経営陣は男性がほとんどですが、消費の中心は女性です。
そこにネジレがあるのではないでしょうか。
だから経営権のある男性と消費権のある女性をつなぐビジネスにチャンスがあると思いました。
マイノリティになれば勝率は高くなりますから。
起業家はアイディア勝負。でもそれは壮大な構想を練るとか、突拍子もない発想をすることではなくて、もっと現実的なのではないでしようか。
自身の生活の中で「あったら便利なのにないよなぁ。ならつくってみようか」でいいと思います。
そしていいアイディアを生むためにはコンディションが大切です。
寝不足や二日酔いはもちろん、体力の低下にも注意しなければなりません。
私は満員電車が苦手で、体力を消耗してしまうから、会社から徒歩圏内に住んだり、下り電車で通勤できるような場所に住みました。

あと5%の努力が人生を変える。
――女性起業家、テレビのコメンテーターとして活躍している経沢さん。順風満帆の半生のようにも思えますが、実は山あり谷ありの連続だったそうです。
最初に会社を立ち上げ資金調達をして事業拡大しようと、社員も増やして広いオフィスに引っ越しました。
でも売り上げは伸びずに赤字が続き、上場などとても無理な状況に。
何が足りないのかと考えたら、私は組織を作るつもりだったのに、単に社員を増やしただけだったことに気付いたのです。
そこで組織作りを考え直し、マネージメントのできるスタッフを採用し、人事評価制度を作るなどゼロからやり直しました。
それでも茨の道は続きました。
その当時、初めて授かった子供は生まれながらに難病を抱えていたし、個人的に多額の負債を背負わされたこともあります。
人生どん底で、会社を辞めようと悩んでいたときに相談したのが、サイバーエージェントの藤田晋さんです。
彼とは同学年ですが、経営者としては雲の上の存在ですよね。
でもそのとき彼が投げかけてくれた言葉が今も支えになっています。
「僕も経沢さんも人間としての能力は変わらない。だから諦めないほうがいい。人生は諦めたことだけが後悔として残るのだから」
その言葉を聞いたとき、藤田さんだって人知れず苦労して来たはずなのに、私はその苦労すら避けようとしていたことに気付かされ、もう一度頑張ってみようと思いました。
苦しみの先には必ず光が見える、そう自分に言い聞かせられる力が必要だと教えていただいたのです。
井戸を掘り続けて、もう少し頑張れば泉が湧くのに、その手前でやめてしまう人が多い。
あと5%の努力を続けるか止めるのか。そこが重要なのではないでしょうか。
あと大切なのは相談する人を間違えないことですね。

――起業家として数々のピンチを乗り越えてきた経沢さん。
でも、逆境のときこそ学ぶことが多いといいます。
会社は赤字続きで、個人的にも借金抱えて、育児にも悩んで、会社辞めたくなったりなど、いろいろなピンチがありました。
でも一番辛かったのは、信頼している身内と意見が食い違ったり、「えっ!」と思うような態度を取られたときです。
でもそのときは、相手が悪いのではなく、私が悪かったと思うようにしました。
意見が食い違ったとき、相手ときちんと向き合って話しをしたのか。誠意のない接し方をしたことはなかったのか。
そう自分に問いかけると反省することばかりでした。
信頼し合っていると信じている仲間でも積極的にコミュニケーションをとることが大切だと学び、言葉の選び方にもより注意を払うようになりました。
起業した当初は、自分の夢ばかり追いかけていたような気がします。
社員から億万長者を10人は出そうとか、自分なりに目標を立てて頑張ったし、だからこそ社員にも忠誠心を求めていたんです。
でもそれは私の理想であり勝手に期待しているだけで、社員全員の合意を得られてはいなかったのです。
頑張るのは私だけの都合であり、大切なのは共に働くスタッフひとり一人の想いを探ることでした。
――経沢さんが2度目の起業で挑んだのはITを駆使したベビーシッターサービス。
だが、周囲の理解を得るまでには大変な苦労があったそうです。
日本ではベビーシッター文化がまだまだ浸透していません。
便利かもしれないけど「高い。面倒。」という先入観を持っている人たちを説得しなければなりませんでした。
伝える力の大切さを痛感しましたし、だからこそテレビのコメンテーターの仕事もより真剣に取り組もうと決めました。
2週間分録画できるビデオを買って、自分だけでなく他のコメンテーターさんの発言もチェックしました。
特にデーブ・スペクターさんのコメントからは多くのことを学んでいます。
30年間テレビに出続けている外国人タレントはデーブさんだけですよね。
その秘訣を私は「デーブの法則」と呼ばせていただいていますけど、彼は最後は必ずポジティブな発言で締めくくります。
そして人の悪口は言いません。最終的には言葉に愛があるか否かなんです。
ブログなど文章を書く習慣も身につけました。
自分がモヤモヤを抱えているときに文章を書くと、何が原因なのか整理することができるし、最後は前向きな言葉で締めくくるので気持ちを切り替えて1日を終わらせることができます。
ブログを1本書き終えると、人間的に凄く成長できたような気がするから不思議ですよ。

三日坊主を恐れない!
――常に前向きな姿勢を崩さない経沢さん。そのために特に心がけていることが2つあるそうです。
まず、思いついたら直ぐに行動すること。
会いたい人がいたら直ぐにメールやラインをしてみる。
私は面識の無い大企業の社長さんにお会いしたくて、フェイスブックでお願いしたら多くの人が貴重な情報を下さり実際にお会いできた経験があります。
思いついたことをすぐ行動に移すだけで自信がつくし、人生が変わることもあると知りました。
私、断食をしたいと思って直ぐに実行したんです。
朝と昼は野菜ジュースにして、夜は好きなものを食べる。これを続けていたら頭はクリアになるし、肌にも効果が表れました。これも思い立ったら即実行の効果ではないでしょうか。
ジョギングを始めたいと思ったら、まずランニングシューズをポチる。
英語が上手くなりたいと思ったら、英会話教室に通う。
興味があるなら即行動に移す。
三日坊主に終わってもいいじゃないですか。
何でも初めてみれば、自分に合うものは続けられるはずだし、それが財産になるんです。
自分の直観を信じて行動すれば、失敗してもデータベースが蓄積されていきます。
――2児の母親でもある経沢さん。親子関係についても語ってくださいました。
ヘリコプターペアレントという言葉もありますが、心配性の親が多いですよね。
私はできるだけ子供を操作しないで、子供自身に決めさせるようにしています。
でも子供が迷ったとき、正しい選択肢を教えてあげるための準備はしているつもりです。
子供の方が大人ですよ。周囲をみて、常識にとらわれずに人の本質を見抜いている。
ただ語彙が少ないので、親が会話のなかで意図を汲み取ってあげる必要がある。
――どんな人と接するときでも謙虚さを忘れない経沢さん。
人付き合いについて注意していることを伺いました。
何でも話せる同世代の親友は私の宝ですよね。
さらに年上の方、年下の方とも交流するよう心がけています。
私、後輩も尊敬しているし、素直に教えを乞うことができるんです。
それが長所かな。本日ここに集まって下さった皆さんも何かの縁で結ばれているのかもしれません。
せっかくですから隣の方を食事に誘ってみてはどうでしょうか。
経沢香保子
1973年千葉県生まれ。
慶応義塾大学経済学部卒業後、 株式会社リクルートに入社。楽天株式会社勤務を経て、2000年、26歳のときにトレンダーズ株式会社を創業。
2012年当時最年少女性社長として東証マザーズに上場。2014年「女性が輝く社会」をミッションに掲げ1時間1000円〜、即日でも手配可能なベビーシッターサービス「KIDSLINE」をスタート。
新しい育児スタイルの提案などの育児支援を行い、日本にベビーシッターの文化を広めることを次のミッションとしている。『自分の会社をつくるということ』(ダイヤモンド社)他、著書多数。テレビのコメンテーターとしても活躍している。
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