
2018.03.07
誠実さで築き上げた信頼が「組織力」を生み出す。
ビジネススクールでの出会いが
新たな道を開くカギに。
今も取締役として会社の運営に携わっている早川、松本とともに企画を考え始めたことが起業のきっかけです。彼らはビジネススクールで出会った同期生。
スクールではハードな課題を出される中でさまざまなディスカッションをするんですが、そこで光る才能を放っていたのがこの2人でした。
僕は銀行やリクルートを渡り歩き、早川は企業の経営企画を担当、松本は新卒でベンチャーに就職し企業を大きくした人物。
それぞれ前職やバックグラウンドがまったく違っていたことも刺激になりました。
起業家精神を持った松本と、名参謀の早川がいたからこそ、みなさんのお役に立てるような子育て情報サイトを創り上げることができたと思っています。
元々は松本が大学院で投稿サイトの研究をしていたんです。
そこに僕が興味を持って、既存のもの以外にもユーザーに喜ばれる事業があるのではないか、と考え始めました。
そんな時、クチコミサイトの成功の条件に「主観によって好みが細分化されるものが向いている」と書かれた文献を目にして。
当時、僕には2歳の娘がいたので、「子育てもそうなんじゃないか」と松本に話したんです。
育て方をはじめ、おけいこ、食べ物、服など、取り上げ出すと人によって違いがある部分がたくさんあることが見えてきました。
そこで「子育て」という領域でやってみようとスタートを切りました。

人材集めでもものを言った
見栄を張らない誠実な対応。
正直、立ち上げ時の人材の確保は大変でした。当時は子育てに関してのサイトや記事がほとんどなかったので何をやる会社なのかわかってもらえず、さらに社員は3人しかいない。
まずは信用してもらえないと採用に至らないという状況でした。
結果的にいい人材を集めることができたのは、誠実に対応して、嘘をつかなかったからだと思います。
この事業には可能性がある、現在トライアルしていることにはこういう実績がある、ということは話しますが、その先にある保証までは言えなくて。
でも、情熱の裏側にある根拠と不安感を伝えたほうが、その人たち自身が動機づくというか、だからこそコズレに入る、という選択をしていただける、ということがわかってきて。
報酬や給料の話は、「今は外部から投資を受けていても赤字の状態だからそんなに出せない」と正直にいうと、意外とみんなわかってくれるんですよね。
サラリーマン経験が長いとプライドがジャマすることもありますが、隠さずにきちんと誠実に伝えたことで、みんなおもしろがってヤル気になってくれたような気がします。

1人では乗り越えられないと
理解することが第1歩。
我々が運営している子育て情報サイト「コズレ」は、今では利用者数が300万人を越えて経営も順調ですが、ここまで来るにはさまざまな苦難がありました。実際のところ、何度か経営危機に陥ったこともあります。
サイトを立ち上げて1年ほど経った頃、サービス自体は順調でしたが資金が底をつきそうになってしまって。
私は会社の代表として、まずは社員に対して誠実に向き合うことが大切だと考えました。
「会社がヤバい」という状況を正直に話したところ、「何とかしなければ」と、組織全体にドライブがかかったんです。
その結果、ギリギリのところで投資家から投資を受けることができました。
危機的状況でも誠実に対応したことで社員との信頼関係が生まれ、みんなの力を借りてこの難関を突破できたと思っています。
僕は意外と慎重派で、新機能などの成功率もどちらかというと謙虚に見積もるタイプですが、他の役員や社員は楽観的というか、自信満々なんですよ。
もちろん、彼らなりの根拠があるだろうし、目標に向かって大変な努力をするんですが、その心の余裕が僕には心地よくて。
会社として業績を伸ばすためにはリスキーな冒険も必要じゃないですか。
そんな時も周りが後押ししてくれるので、僕は躊躇せずに冒険できる。
例えば投資を受けるために投資家を説得する時も、役員陣が「イケるでしょ!」と背中を押してくれたので、迫力ある言葉が出て説得することができました。
高い壁は、決して自分一人の力で乗り越えることはできません。
誠実に対応することで役員や社員と揺るぎない信頼関係を築き、そこから生まれる組織力が高い壁を乗り越えるための強力な武器になりました。
人材集めの時もそうでしたが、「誠実であること」は困難を突破する重要なキーワードだと思っています。

説得するには「見せ方」よりも
本質につながる「ロジック」が重要。
会社の代表ともなると、人を説得しなければいけない場面がよくあります。この時、僕が大事にしているのは「何をすれば何につながるのか」というロジックです。
例えば、新しいプロジェクトで新機能を付ける、という案が出た場合、その機能で実現したいことは何なのか、ということをしっかり決めておきます。
その本質の部分が理解できていないと、人に説明している間にロジックが崩壊してしまうんです。
特に我々のようなベンチャー企業がプロジェクトを進めるには、社員、投資家、取引先など様々なステークホルダーに説明しなければならないので崩壊しやすい。
今までやったことがない不確実な事なので、そういうことが起きがちなんです。
ですから、whatの段階でできる限り叩いておく。
なかでも会社がうまくいっている時は、目的意識が緩んでビジネスの精度が下がることがあるので念入りに叩きます。
そうすれば本質がより明確になり、説明する相手が変わっても十分に説得できます。
今後も厳しい相手を説得しなければならなかったり、新機能に挑んだりと、大きな壁にぶつかることがあると思います。
その時は今まで培ってきた組織力で、社員を巻き込みながら確実に突破していきたいと思います。
コズレ
代表取締役
田中穣二郎
1976年生まれ、慶応義塾大学経済学部卒業。2001年、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。在籍中は関連証券会社に出向しIPO支援を経験。2005年、(株)リクルートに入社し、人材領域にて上場大手企業に対する組織・育成・採用戦略の立案・実行に従事。2011年慶應大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネススクール)に入学。在学中、仏Essec Business School へ派遣留学し、ここで出会った同期の2人と共に2013年「株式会社コズレ」を創業。2014年、子育てに関する多彩な情報を提供するウェブサイト「COZRE」を開設。現在は月間で約300万人ものユーザーが利用する人気サイトに。


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