2020.12.14

用語クローズアップ【不動産の利回り】について

今回は賃貸経営でよく耳にする不動産の利回りについて解説します。
※本コラムはレッツが発行している資産経営情報誌のコンテンツを抜粋したものとなります。

Let's Plaza用語クローズアップ(2015年 5月号)

不動産の利回りとは


投資用不動産を購入・保有する際に、客観的に判断する指標のひとつとして、「利回り」という考え方があります。
これは、その不動産から1年間に得られる収入が、購入価格に占める割合(%)で表示されます。
例えば5億円で購入した投資用不動産から1年間に得られる収入が5,000万円ならば利回りは10%、収入が2,500万円なら利回りは5%の投資用不動産ということです。
このように、単純に「満室想定年間収入」を「購入価格」で割り戻すものを『表面利回り』と呼びます。
主に市場に流通している不動産の利回り表記として用いられており、市場に出ている収益用不動産を横並びで評価する指標として有効に利用されています。
それに対し、もうひとつの指標として『ネット利回り』があります。
これは、「満室想定年間収入」から空室・貸倒れ想定費用や維持管理費、公租公課、保険料などのその他支出を差し引いたものを「購入価格」で割り戻して求めます。
従って、分子が小さくなる分、『ネット利回り』の方が『表面利回り』より当然小さな値となります。
具体的に不動産の購入を検討される場合には、これら費用についてもできる限り把握し、表面上の利回りにとらわれることなくキャッシュフローが正常であるかどうかを、充分に検討しましょう。

利回りに「差」が出るのはなぜか?


投資用不動産を選ぶ指標としての利回りに差が出るのはなぜでしょう。
市場に流通している投資用不動産を見てみると、表面利回りが20%を超えるものから3%のものまで様々です。
もちろん売主側の都合もありますので一概には言えませんが、一般的な傾向として、表面利回りの大きな不動産ほど投資リスクが大きいことが言えます。
例えば、都心と郊外の不動産で比較してみると、都心の不動産の方が立地面での利点が多いため空室リスクが比較的低く、売却するとなった際も売りやすくなってくるでしょう。
それに比べて郊外の不動産は常時どれくらいの空室が発生しそうか考える必要がありますし、売却する際にかかる期間も長くなりそうです。
極端な話をすれば、郊外の物件は次の買い手が見つからないというケースも皆無ではありません。
当然、需要の高い都心の不動産の方が高額であると考えるのが自然ですから、理論上、表面利回りは小さくなると言えます。
このように、立地による利回りの差はもちろんですが、どれぐらい管理に手間がかかるのかによっても利回りに差が出てきます。
維持管理費にたくさんコストが掛かれば、収入が減って利回りは小さくなります。
例えば、区分所有マンションの1室を持つのと、アパート1棟を持つのとでは管理に掛かる費用が大きく違うというのは感覚的に理解できるかと思います。
同様に、近い将来に想定される修繕費なども利回りに影響する一因と考えられます。
建物はどうしても経年劣化しますし、使われているお風呂やトイレ、キッチンなどの設備も流行から遅れてくるとお客様に敬遠されるため、いつかは新品へ交換しなければなりません。
このようなコストが今後どれぐらい掛かりそうかという観点は売買価格に影響を及ぼすため、当然利回りにも影響してきます。
従って、投資用不動産を購入するにあたっては、不動産の立地、築年数やテナント特性、メンテナンス状況などを充分に検討し、利回りが適正か判断する必要があります。

事例で解説ー不動産利回りの計算式 ・表面利回りは、満室時の年間賃料を購入価格で割った数字。
・ネット利回りは、キャッシュフローが少なくなるため、表面利回りに比べて小さくなる。


市況による利回りの変化


前述のような不動産の特性による利回りの「差」以外にも、市況が利回りに与える影響もあります。利回りが不動産価格から求める以上、不動産価格と利回りの関係は反比例します。
市況が落ち込み、需給バランスが崩れると不動産価格が下がります。不動産価格が下がると利回りは上昇し、反対に不動産価格が上昇すると利回りは下降します。市況が与える影響は、賃料よりも不動産価格の方が大きいため、同じ不動産を購入したとしても、購入する時期によって利回りが変わることにも注意が必要でしょう。
不動産の市況は限定的な要因で上昇・下降するわけではありませんので、見極めるのは困難ですが、不動産市況が上昇トレンドにあるのか下降トレンドにあるのかについてはいろいろなところから情報を集めて、投資用不動産の購入(もしくは売却)するタイミングを見定めることが大切です。

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