
2016.08.26
ビジネススキルは映画に学べ! Vol.2 『SCOOP!』
「COMMONS PAGE」では、ビジネススキルのヒントにもなる、話題の映画をご紹介していきます。案内人は映画ジャーナリストの金原由佳さん。今回は話題の邦画『SCOOP!』から、ビジネスの心得を学びます。

その大根監督が、『SCOOP!』で取り上げるのは、今年、何かと物議をかもしている週刊誌の編集部です。ハイエナのごとく、狙った標的を付け狙い、セレブがふと見せた素顔や油断した瞬間をカメラに収め、煽情的なタイトルと表現でお茶の間に向けてぶちまける。この仕事を描くにあたって、大根監督はかなり挑発的なキャスティングを敢行しました。というのも、これまでさんざん、マスコミにその私生活を追いかけまわされた側にいた福山雅治を、実に下品で下種な中年パパラッチ、都城静役に配したのです。「俺らはそこら辺を這いずり回るゴキブリやドブネズミなんだよ」と自虐的なセリフを吐く場面がありますが、彼が言うと、その皮肉が際立ちます。静が清純派アイドルから人気俳優、総理大臣候補の若手の政治家などの、彼らの夜の顔を暴くために、それは執拗に車で追い掛け回し、時には汚い手を使って、ありとあらゆる手段で近づき、隠し撮りする姿は、一言でいうと食事にたかる蠅のようにウザい!見ていて決していい気分のものではありません。

「では、なぜ、この仕事が存在するのか?」
そんな観客の疑問と並走しながら、映画の中で常に自問自答するのが二階堂ふみ演じる新人編集者、行川野火です。全く希望していなかった部署に配属され、その日から、静と夜のネタ探しに配置される彼女は、ことあるごとに「ほんと、サイテーな仕事ですね」と嫌悪感を示します。彼女だけでなく、SCOOP編集部内にも、静の仕事ぶりに疑問の目を向ける者がいます。特に、静と野火にコンビを組ませた芸能&事件班の副編集長、横川(吉田羊)と次期編集長の座を巡って争っているグラビア班担当の副編集長、馬場(滝藤賢一)は露骨に反発を示します。売れるためならなんでもするのか。公人にはプライバシー保護の権利はないのか。報道はどこまで突っ込んで取材してもいいのか。映画の中で、野火が静にぶつける感情を通し、観客も報道という仕事について一緒に考えさせられる構成となっています。
しかしながら、ある事件の報道の仕方をめぐり、編集部内で激しい議論を重ねる中で、野火は、国民の代わりとして、取材の自由、報道の自由を行使し、真実を世に伝える使命に気付きます。やがて静と共に、大きなスクープを狙うようになるのですが、一世一代の仕事で跳躍するには、それまでの日々の助走が必要だったとも悟ります。
彼女の言う「サイテーな仕事ですね」が、「サイコーな仕事ですね」に変わる瞬間を、ぜひ、劇場で確認してみてください。
ポイント1
新人を育て上げるには、ベテランとコンビを組ませよ!
ポイント2
サイコーの仕事を成し遂げるために、サイテーな仕事を積み重ねよ。
監督:大根仁 出演:福山雅治、二階堂ふみ、吉田羊、滝藤賢一、リリー・フランキーほか
配給:東宝 10月1日より全国東宝系にて公開
RECOMMEND
TOHOシネマズ日本橋の上映映画

クリント・イーストウッドがトム・ハンクスを迎えて描く実話の映画化。2009年1月15日、USエアウェイズ1549便は離陸直後に左右のエンジンが停止するアクシンデントに遭遇。チェズレイ・サレンバーガー機長は長年の経験から即座にハドソン川への着水を決意。155人の乗客、スタッフは全員無事に生還するが、国家運輸安全委員会からは、判断ミスではなかったかと厳しい追及を受けることになる。40年近い経験を無視され、わずか数分の判断で窮地に陥る機長の苦悩をトム・ハンクスが好演。イーストウッドが得意とする「任務の責任感」を描いた人間ドラマ。
『ハドソン川の奇跡』
9月24日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他 全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2016 Warner Bros. All Rights Reserved
http://wwws.warnerbros.co.jp/hudson-kiseki/
金原由佳(きんばら・ゆか)
映画ジャーナリスト。著書に映画評論集「ブロークン・ガール」(フィルムアート社)、取材、構成を務めた「伝説の美術監督たち× 種田陽平」(スペースシャワーネットワーク)、ロングインタビューを担当した「アクターズ・ファイル 永瀬正敏」など。

映画『SCOOP!』
話題の映画からビジネスの心得を学ぶこのシリーズ。今回は大根仁監督の最新作『SCOOP!』を取り上げます。本作は原田眞人監督の監督・脚本で撮影された『盗写/250分の1秒』という映画のリメイクです。大根監督は『モテキ』では森山未來演じる主役をニュースサイトで働くライターとして、ITビジネスのせわしなさを垣間見せ、続く『バクマン』では少年ジャンプでの連載を競い合う漫画家たちの火花散るライバル関係を描くなど、日本映画には珍しく、働く人とその職場を魅力的に見せることのできる映画監督の一人です。その大根監督が、『SCOOP!』で取り上げるのは、今年、何かと物議をかもしている週刊誌の編集部です。ハイエナのごとく、狙った標的を付け狙い、セレブがふと見せた素顔や油断した瞬間をカメラに収め、煽情的なタイトルと表現でお茶の間に向けてぶちまける。この仕事を描くにあたって、大根監督はかなり挑発的なキャスティングを敢行しました。というのも、これまでさんざん、マスコミにその私生活を追いかけまわされた側にいた福山雅治を、実に下品で下種な中年パパラッチ、都城静役に配したのです。「俺らはそこら辺を這いずり回るゴキブリやドブネズミなんだよ」と自虐的なセリフを吐く場面がありますが、彼が言うと、その皮肉が際立ちます。静が清純派アイドルから人気俳優、総理大臣候補の若手の政治家などの、彼らの夜の顔を暴くために、それは執拗に車で追い掛け回し、時には汚い手を使って、ありとあらゆる手段で近づき、隠し撮りする姿は、一言でいうと食事にたかる蠅のようにウザい!見ていて決していい気分のものではありません。

「では、なぜ、この仕事が存在するのか?」
そんな観客の疑問と並走しながら、映画の中で常に自問自答するのが二階堂ふみ演じる新人編集者、行川野火です。全く希望していなかった部署に配属され、その日から、静と夜のネタ探しに配置される彼女は、ことあるごとに「ほんと、サイテーな仕事ですね」と嫌悪感を示します。彼女だけでなく、SCOOP編集部内にも、静の仕事ぶりに疑問の目を向ける者がいます。特に、静と野火にコンビを組ませた芸能&事件班の副編集長、横川(吉田羊)と次期編集長の座を巡って争っているグラビア班担当の副編集長、馬場(滝藤賢一)は露骨に反発を示します。売れるためならなんでもするのか。公人にはプライバシー保護の権利はないのか。報道はどこまで突っ込んで取材してもいいのか。映画の中で、野火が静にぶつける感情を通し、観客も報道という仕事について一緒に考えさせられる構成となっています。
しかしながら、ある事件の報道の仕方をめぐり、編集部内で激しい議論を重ねる中で、野火は、国民の代わりとして、取材の自由、報道の自由を行使し、真実を世に伝える使命に気付きます。やがて静と共に、大きなスクープを狙うようになるのですが、一世一代の仕事で跳躍するには、それまでの日々の助走が必要だったとも悟ります。
彼女の言う「サイテーな仕事ですね」が、「サイコーな仕事ですね」に変わる瞬間を、ぜひ、劇場で確認してみてください。
ポイント1
新人を育て上げるには、ベテランとコンビを組ませよ!
ポイント2
サイコーの仕事を成し遂げるために、サイテーな仕事を積み重ねよ。
監督:大根仁 出演:福山雅治、二階堂ふみ、吉田羊、滝藤賢一、リリー・フランキーほか
配給:東宝 10月1日より全国東宝系にて公開
RECOMMEND
TOHOシネマズ日本橋の上映映画
『ハドソン川の奇跡』9/24(土)公開

クリント・イーストウッドがトム・ハンクスを迎えて描く実話の映画化。2009年1月15日、USエアウェイズ1549便は離陸直後に左右のエンジンが停止するアクシンデントに遭遇。チェズレイ・サレンバーガー機長は長年の経験から即座にハドソン川への着水を決意。155人の乗客、スタッフは全員無事に生還するが、国家運輸安全委員会からは、判断ミスではなかったかと厳しい追及を受けることになる。40年近い経験を無視され、わずか数分の判断で窮地に陥る機長の苦悩をトム・ハンクスが好演。イーストウッドが得意とする「任務の責任感」を描いた人間ドラマ。
『ハドソン川の奇跡』
9月24日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他 全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2016 Warner Bros. All Rights Reserved
http://wwws.warnerbros.co.jp/hudson-kiseki/
金原由佳(きんばら・ゆか)
映画ジャーナリスト。著書に映画評論集「ブロークン・ガール」(フィルムアート社)、取材、構成を務めた「伝説の美術監督たち× 種田陽平」(スペースシャワーネットワーク)、ロングインタビューを担当した「アクターズ・ファイル 永瀬正敏」など。
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